経済教育学会第6回地域研修会(経済教育と英語教育の融合の実現をめざすシンポジウム)報告

 2019年12月8日(日曜)13時から17時にかけて大阪工業大学OIT梅田タワー202号室セミナールームにて、英語教育であるCLIL(内容言語統合型学習)と経済教育の融合を目指したシンポジウムが開催されました。

本シンポジウムは経済教育学会と摂南大学教務部教育イノベーションセンターの共催であり、経済教育学会第6回地域研修会にも位置づけられます。

シンポジウムコーディネーターである八木紀一郎先生(摂南大学)による開催挨拶に始まり、イントロダクションとして「経済教育と英語教育の融合をめざす」と題した講演の中で経済教育と英語教育の融合の必要性と課題が強調されました。

英語で経済学を理解するにあたり壁になるのは語学力だけでなく、日常語と学術語の乖離です。両者の融合のために教員間の連携の重要性が指摘されました。

日本CLIL教育学会西日本支部長である柏木賀津子先生(大阪教育大学)により「経済学教育と英語教育の融合の実現を目指す-CLIL as Competency-based Approach-」と題した講演がなされました。

柏木先生はオーストラリアやフィンランドでの事例と併せて、CLIL指導プランニングの日本導入について分かりやすく説明されました。

 キャロライン・ハッチンソン先生(日本大学)は「語学教育から見たCLIL教育」と題して語学教師の視点からCLIL教育を説明されました。

英語を学習する意味をバランスシート(4つのC:Communication、Content、Culture、Cognition)で表現した上で、CLIL導入の理想的状況について言及しました。

 徳丸夏歌先生(立命館大学)は「批判的思考力をはぐくむ英語経済教育:Core textbookを用いた英語教育の実戦と課題」という題名で講演しました。

批判的思考力の大切さと「Core-econ textbook」の有用性を解説すると同時に、英語で経済学を理解させるメリットおよびデメリットも鋭く指摘しました。

 新里泰孝先生(富山大学)は「CORE-econ プロジェクトの活用事例-外書購読の場合-」と題して、Coreプロジェクトが日本で発足した背景や世界での活用動向を紹介しました。

また、Laufer基準の観点から「Core-econ textbook」は学生にとって理解しやすい教科書であると言及し、より一層の活用を提案しました。

 小休止の後は講演された4名の先生によるパネルディスカッションが行われました。

ディスカッションの中では、効果的な英語教育の進め方のほか、英語教育の必要性が議論されました。

英語は専門家同士の文化共有のツールであり、英語(共通言語)があったから今の文化を形成できたとする意見がありました。

また、ビジネスのための英語、経済学のための英語のような具体的目的を持った語学教育が今後重要になる可能性も言及されました。

経済教育と英語教育の融合を考える上で非常に有意義な時間であったと言えます。